ブタがいた教室

2012.7.10ブタがいた教室

またまた映画のお話
7月は暇なので勝手に映画月間にしております。大分前に録画してあったんだけど見そこねてた「ブタがいた教室」。監督、前田哲。主演、妻夫木聡。黒田恭史の書籍『豚のPちゃんと32人の小学生 命の授業900日』を原案としている。この原作は実話だそうで、映画のほうは実話とは少々違う部分もあるらしい。
私は原作は読んでないので、映画を見ただけの感想になってしまうんだけどね。
6年2組の新任教師の星はこどもたちに「先生はこのブタを育てて、最後にはみんなで食べようと思います。」と子豚を連れてくる。子供たちは豚にPちゃんと名前をつけ、苦労しながらも愛情いっぱいに育てるのだが、卒業する時にどうするかで、大問題になる。最初の約束では「ブタを育てて食べる」ということだったのだけど、もはや子供たちにとってPちゃんは「ただの豚」ではなく「クラスの一員」であり、それを食べることなんてできない。でも、後輩に託すのも無責任ではないか、などなど、子供たちが真剣に議論するシーンがなかなか圧巻。演じた子供たちには議論のシーン台本が与えられておらず、演技でなく本音で話し合っていたそうだ。
担任が初め意図したのは「命を食べるということ」を教えたいということだったのだと思う。それ自体は私はすごく大切なことだと思う。しかし、それを教えるのに子豚を育てて、それを食肉に・・・という事が必要なのかは、どうかなぁと思う。かわいい子豚を育てれば、当然名前もつけて、子供たちは純粋な愛情を注ぐだろう。そんなことは、想像力を働かせなくても予測できる事。クラスの一員として愛情を注いだPちゃんを、食肉にする事は教育だろうか?大人の私だって、無理だ。ものすごい心の傷になりそうだ。トラウマになって豚肉が食べられなくなったりしそうだ。
魚は切り身や開きで泳いでるわけじゃなく、お肉は最初からパックに入ってるわけじゃない。それを子供たちに教えるのはとっても大切なことだと思う。私たちが毎日食べているものは、野菜からお肉からお米まですべて命があるもので、私たちはその命を頂いているのだという事を実感させるのは本当に必要だと思う。
だけど、それと、クラスの一員となったかわいい豚のPちゃんをお肉にすることは違うんじゃないかと。
映画ではそこまでやらなかったけど、実際は子供たちはお肉を食べたんだそうだ。笑顔で食べた子、泣きながら食べた子、食べられなかった子、色々いたそうだ。子供たちはこの授業で、すごく沢山のことを学んだかもしれない。だけど、すごく沢山傷ついたんじゃなかろうか。子供を傷つけてまで、この方法で学ばせないとならなかったのか?
ただ、さっきも書いたけど、子供たちの本気の議論のシーンは見ごたえがあり、泣ける。映画としては悪くない。そして豚のPちゃん、かわいい・・・
いのちを頂く事について考える、という意味では、以前見た映画「いのちの食べ方」、お勧めですhttp://d.hatena.ne.jp/sumi0627/20080320