「ラブリーボーン」「彼女について」

2011.7.6ラブリーボーン

録画してあった映画を見た。
ラブリーボーン」。監督ピーター・ジャクソン。アリス・シーボルトの原作を映画化した。14歳で殺害された少女が主人公。死後の世界から家族を見守り、犯人を憎み・・・。で、犯人が逮捕されて・・・という結末かと思ったらそうじゃなかった。ミステリーじゃなくて、家族の愛の物語だったらしい。そう思うと、納得なんだけど、やっぱり犯人のラストがスッキリしない・・・。あと殺害された彼女の体の行方もかわいそう過ぎる。それから、死後の世界がちょっと安っぽいんだよねー。ブルーレイで見ると違うらしいんだけど。
でも、犯人が逮捕されてもされなくても、遺体が見つかっても見つからなくても、残された家族が立ち直っていくことを、殺された彼女は願っていて、そして、それにより、自分の死を受け入れていくのかもしれない。受け入れがたい不条理な死だとしても。そんな事を考えさせられました。主演のシアーシャ・ローナンもとってもキュートです。

もうひとつの「彼女について」はよしもとばななの小説。すっごく久しぶりに手にしたよしもとばなな設定がちょっと「ラブリーボーン」に似ていたので。全体にソフトフォーカスがかかったような、やさしく緩やかな世界。主人公の不幸な過去も、やわらかく語られている。ラストはちょっとびっくりの種明かし。ストーリーは面白い。魂の救済というようなテーマもいい。
ただ、文章が・・・。よしもとばななは「キッチン」「うたかた/サンクチュアリ」「TUGUMI」「アムリタ」までは読んでいて、割と好きだったんだけど、その後はずーっと読んでいなかった。「アムリタ」が95年ごろだから、16年ぐらいぶり。その間に、私はすごく沢山小説を読んだ。東野圭吾篠田節子角田光代重松清etc・・・。数え切れないほどのものすごく沢山のそして文章力のある作家たちの作品を。おかげで、人物の心理を美しい文章で丁寧に描くことに関してハードルが高くなってしまった
そういう意味で、「彼女について」は不満が残った。
と、辛口でした。これ、よしもとばななのファンが読んだらどうしよ。また刺されちゃうかな。