逃避行

2009.4.28逃避行

篠田節子の「逃避行」という本を文庫で買った。2003年にハードカバーで出た本でそのときは図書館で予約して待って待って読んだ。そのときの感想はこちらhttp://queensumi.himegimi.jp/housekibako/queen%20library8.9.htm#touhikouその後も、心に残る作品だったので、手元に置いておきたくなって、文庫を購入。文庫はね、表紙もゴールデンでぐっとくるのよね。
で、出かけた時読もうと、電車の中で開いたんだけど、読めなかった。もうね、最初の一行読んだだけで涙が出ちゃって。一度読んでいるから、結末は知っているの。でね、ネタばれになるから、何なんだけど、結末は悲しいけど、犬好きの思う悲しい結末とも違うというか、いや、悲しいか
2003年に読んだ時は、普通に読めた。ところどころ泣いたけど。最初の一行目から読めなくなるなんて事はなかったのに。
大きな体を抱き締めると、淡いベージュの毛に指が深々と埋まる。犬は、つい半日前に自分が犯した重大な罪を悔いるように頭を垂らしている。」この一行で駄目だった
隣の子供にいじめられ続け、ついに子供をかみ殺しまったゴールデンレトリバーのポポを連れて、飼い主の50歳の主婦が逃避行をする物語。
ポポはちょうどアポロと同じ9歳。初めてこの本を読んだ時はアポロはまだ3歳だったのだ。今だからこそわかる9歳の老犬のしぐさや表情と、主人公妙子のポポへの思い。3歳のアポロと暮らしていたときには、まだまだ客観的に見ていた部分があったのだと思う。手に取るようにわかるポポの老い。そして50歳になる主人公の老い。この6年で、私のアポロへの想いも変わっている。6年前よりずっとずっと深くなっている。
辛すぎで、電車の中で読むのをやめた。今度、家から一歩も出なくても良い日に、号泣しながら読むことにしよう。