千葉県動物愛護センター施設見学レポート

2007.10.16千葉県動物愛護センター見学

遅くなりましたが、16日に行った、富里にある「千葉県動物愛護センター」の保護、処分施設の見学レポートをします。
少々長くなりますがお付き合い下さい

しつけ教室が終わったのが4時半。見学はセンターの職員さんが案内してくれました。見学の前にまず施設についての説明を丁寧にしてくれました。しつけ教室の前にもセンター長さんから説明がありました。ここ、富里のセンターでは千葉市船橋市をのぞく(千葉市船橋市政令指定都市のため、別組織)千葉県全域委で保護された犬や猫が集まってきます。各保健所に持ち込まれた犬や猫も同様です。平成18年度の処分数は犬5924頭猫7985頭。今年の4月23日から収容犬の写真をHPに載せるようにし、また今までしていなかったボランティア団体への譲渡を開始したそうです。その結果、今年は譲渡数が前年を大きく上回りそうだとのこと。また、10年後までに引き取り頭数を半分以下にすることを目標にしているそうです。確かに、どんなにボランティアの方々が頑張っても、元々の引き取り収容が減らないことには、問題解決にはなりません。
説明を聞きいくつか質問をした後、施設の見学です。入り口で長靴に履き替え、施設にはいると、ドアがあいたとたん、強い臭いでした。施設内は定期的に掃除消毒はしているでしょうが、何十頭もいる子がウンチをする度取るわけではありません。そして、元々汚れていた子たち。不潔でどうしようもないという印象ではありませんが、やはり強烈な臭いでした。
    
今日収容された子の部屋です。収容される子は首輪をした子が半分以上。なのにお迎えに来るのは1割に満たなそうです。奥にはシェルティーと思われる子も。真ん中の子は私が来たのがうれしいのか、寄ってきてかわいい目で見つめていました。一週間の猶予がある。こんなにかわいい子だし、しっかりした首輪もあるから「大丈夫、きっとあなたは飼い主さんが迎えに来るよ」って言ったけど、今日(22日)センターのHPを見たら、まだ掲載されてました。明日(23日)にはこの子は処分です。見なければ良かった
  
月曜に収容された子の部屋。この子も首輪つき。まだ若いみたい。
    
金曜に収容された子の部屋。シェパードかシェパード系ミックス。「こんなに大きくなると思わなかった」のかな。奥にはビアディっぽい長毛の子も。
    
木曜に収容された子の部屋です。みんな隅っこに固まって、じっと動きません。左に見えるのがドッグフード。フードを水はふんだんにあります。右の子は一頭だけ寄ってきた子。こんなにかわいいのに。もう、この世にいない子です
      
最後の部屋。この子たちは自分に明日起きることを知っているのか。たくさんよだれをたらしているのはおびえているのか。ごめんね。何もしてあげられなくて。泣きながら謝りました。この部屋には子犬もいました。子犬はもらい手がつきそうな子は別にして譲渡候補にするのですが、この子は健康状態が良くないのか。
  
明るい写真も少し。左の2頭はセンターのHPの写真を見て、里親候補が現れた子。別に隔離して、病気が無いか2週間観察するそう。右の子犬は譲渡候補。昼間は外でふれあいもするらしい。このような子犬が十数頭。ほかにも、ボランティア団体がもらい手がつきそうと、助け出した子は別の部屋で隔離、2週間観察してからボランティアに引き出される。幸福な子たち。結局全員を救ってやることは出来ない

このあと、収容された猫の部屋、そして処分設備を見せてもらいました。写真はNG四角く小さい箱の中でこの子たちは苦しみながら窒息死していきます。息絶えた子を、下に落とし、消却。「向こうに積んである白い箱が、骨と灰です。表に慰霊碑はありますが、そこに埋めるわけではなく、産業廃棄物として処分され、埋め立てなどに使用されるそうです。」驚いた。埋め立てだって。その上に私たちは暮らしているのか。悲しい悲しい命の上に。いっそ、化けて出てくれ。呪ってやれ。おまえたちを捨てた奴らを。でも、きっと犬や猫は恨んだり呪ったりしない。最後の瞬間まで大好きな飼い主が迎えに来ないかと、大好きなあの人が名前を呼んでくれないかと、思いながら、死んでいったに違いない
保護中に亡くなる子もいるそうです。その場合、飼い主さんの問い合わせに答えるため、一週間は遺体を冷凍保存するのだとか。電話での問い合わせに、遺体の写真を撮影してメールで送ったり、という作業もするそうです。何て大変な仕事なのか。
どんなにか感情が高ぶり、泣き崩れてしまうのではないかと思ったのですが、思ったより冷静に見学することが出来ました。もしかしたら職員さんに迷惑をかけるほど動揺してしまうかと思ったのですが。
何か、心がすーっと冷えていく感じ。そして、自分が結局は何も出来ない、何もしていない事を目の前に突きつけられた日でした。
センターによって、対応は様々、方針も自治体によって全く違うそうです。非常に悪い対応のセンターもあると怒りの声を聞いたこともあります。
ですが、富里にあるこの千葉県動物愛護センターは、きちんと努力を重ね、何とか処分を減らそうとしている事が伺えました。たった1人の私の見学のために、就業時間が過ぎてもゆっくり説明してくれ、見せたくないであろう部分も見せてくれました。
他の自治体では取材は「譲渡会」などの良い部分だけで、処分についてはダメというところが多く、富里には良く取材が来るそうです。処分の実態を見せず、かわいい子犬の譲渡だけ見せて何になるでしょう
先日の日テレの「スッキリ!!」の取材はやはり一部こちらのセンターだったそうです。その姿勢にも、敬意を表したいと思います。

遅い時間までお付き合いいただいた職員さん、ありがとうございました。私は、この日見た子を1頭も救うことはできませんでした。けれど、何かの形で、あの子たちの死を無駄にしないように、出来ることをしていきたいと思います。このセンターから犬や猫を助け出しているボランティア団体と個人が13あるそうです。物資やお金の支援をするなら、そういった所に、と思ったりもします。いつか将来、レスキューを考えるならこのセンターの子を、とも思います。勿論千葉だけではありません。みなさんが住んでいる県には必ず処分施設があります。その子たちのために、少しでも出来ることを。

最後にもう一つ。職員さんは頑張っておられますが、万が一にもアポロを迷子にしてこの悲しい部屋に一時的にでも入れる事は絶対出来ないと思いました。それ程、悲しみに満ちた部屋なのです。センターにはマイクロチップリーダーが設置されています。迷子札は取れてもチップは取れません。チップが読み込まれれば、すぐに確認され、連絡が来ます。そして別の部屋に入れてもらえます。どうか、大切な我が子を迷子にさせることが無いようにマイクロチップの装着を再考してください。そして室内犬でも、室内にいるときも必ず迷子札を地震や火事で室内から飛び出すこともあるのですから。

長い長いレポートにお付き合いありがとうございました。
後日、HPの方にレポートを移すつもりです。いつでもご覧頂けるように。