いのちの食べ方

2008.3.20いのちの食べ方

雨の中、王様と2人で映画を見てきました。
「いのちの食べ方」(「Our Daily Bread/日々の糧」・原題)という映画です。http://www.espace-sarou.co.jp/inochi/ちょっと前に見に行った姉夫婦が「食べることが何より好きな私たちには是非見て欲しい映画」、と言っていたので。
オーストリアの若手の監督、ニコラウス・ゲイハルターのドキュメンタリーです。姉から話は聞いていたのですが、食の生産の現場を非常に淡々と、描いています。そこには、字幕も、効果音も、解説も、何もありません。音は、実際に発生している機械の音、動物の鳴声、働いている人の会話(字幕が無いので何を話しているかはわかりません)のみ。
描かれるのは、実に様々な食材の生産現場です。豚が生まれてお肉になるまで。ひよこが孵化して鶏肉になるまで。牛が生まれてお肉になるまで。それから農業の現場。ひまわり、アスパラ、トマト、アーモンド。変わったところでは岩塩の採掘現場。すべて感情を交えず、静かに、淡々と、真実を描いています。
見応えがあって、ショッキングだったのはやはり鶏と牛清潔でシステマティックな孵卵器で孵ったひよこは、次々とワクチンを打たれ、ベルトコンベアーでガンガン運ばれています。死なないのか?あんなにスゴイ勢いで機械から吹っ飛ばされてきて。ひよこが大きくなり、最後に足をつるされて、羽をむしられ、首を切り落とされる状態までをしっかり記録しています。牛はもっと強烈で、交配は人工的に精子を採取され、人工授精。お肉になる牛は、電気ショックで気絶させた後、心臓がまだ動いている状態で血抜きをします。滝のように流れる血、口から大量に出る胃液。皮は機械で剥がれ、お肉になっていきます。
監督は決して、そういった企業を批判しているわけではありません。ただ、大量消費の現場はこうなっていると伝えているだけです。企業は安全でロスが無く、機械化されて、量産できるシステムに誇りを持っています。生産ラインは見方によっては美しく、私が勤めていたお菓子メーカーの工場と非常に似ています。
驚きと、ショックと、感謝と、反省と、感心、感動といろんなものがないまぜになって押し寄せてきました。この映画を見てどう感じるべきなのか、正直わかりません。ただ、私たちは、いのちの食べ方」に無関心ではいけないのだと改めて思います。どんな人にもお勧めかというと、血が苦手な人にはショック大きすぎかなぁ。でも、自分たちが食べているモノがどうやって生産されているかはやっぱり知るべきじゃないかと、そう思います。私の場合、映画の後普通に渋谷のビストロ「コンコンブル」http://r.gnavi.co.jp/g708300/でお肉もお魚も食べてきました。色々考えるけど、でも、私は感謝しながらいのちを食べ続けます。そして可能ならなるべく大切に育てられたいのちを食べたいな。
ちなみに「コンコンブル」、ランチは1000円からで、ワンプレートになってるので見た目給食みたいだけど、スープもメインも美味しかったです。コーヒーお代わりできるし、テーブルが狭いけど、このお値段なら!って感じ。ランチワインはミニサイズが200円。
下の写真はひまわり畑。ひまわりの種子の収穫は、成熟を待つのでなく、飛行機で薬を撒いて茎や花を萎えさせてから効率的に収穫するそうです。それから、鶏の生産工場。ベルトコンベアでひよこが運ばれていきます。最後の写真はコンコンブルのランチ。メインはオマールエビのソテーと、サーモン。アソートしたので1600円。エビのソースが美味しかったです。