「ことり」小川洋子

2013.12.08ことり

12月8日に何をしたのか全く覚えていないので(汗)、最近読んだ本の話などを。とはいえ、この画像は12月8日に撮ったものなので、嘘日記をかいてるわけじゃぁございません。
「ことり」小川洋子。2012年の出版。12年ぶりの長編小説だそうだ。
図書館で予約してけっこう待った。
人の言葉が全く話せず、自分だけの言語を話す兄と、ただひとり兄の言葉を理解できる弟の物語。兄は人の言葉は話せないけれど、小鳥のさえずりは理解することができる。そんな2人の、2人きりの静かで、やさしく、せつなくて、寂しい暮らしを、淡々と、でもそっと包み込むように描いている。2人の暮らしは慎ましく、穏やかで、でもささやかな幸せに満ちているんだけど、なんだかたまらなくせつなくて、「この人たちにはもっと、慎ましくないはっきりくっきりした大きな幸せをつかむ権利と方法があるんじゃないのか!」とつい、思ってしまう。でも、きっと彼らはそんなものは全然必要としていないんだろう。私ってやっぱり俗物だなぁと思う。もっと美味しいものを食べたり、旅行したり、映画を見たり、小鳥を飼ったりすればいいのに!と思ってしまうのだ。何が幸せかなんて、人に測れるものじゃないのにね。きっと2人は幸せだったのだ。でもなんかしみじみとせつない。
小川洋子の作品は、そんな気持ちにさせられるものが多く、読み終わったあと、なんだかすーっと心が静かになって、心の隅っこに溜まった汚れが浄化されるようなそんな気がする。「明日からも頑張ろう!」とは決して思えないんだけど(笑)「明日からもっとしみじみしよう」みたいな